耳鼻咽喉科臨床研修プログラム

はじめに

耳鼻咽喉科における卒後臨床研修では、耳鼻咽喉科医として医の倫理に基づき診療を適切に実施し、境界領域内の疾患の処置を正確に行い、社会のニーズに対応して社会福祉、学校保健、公衆衛生上の問題に適切に対処し得る能力を習得することを目標とする。また、当院は日本耳鼻咽喉科学会認定専門医制度による研修指定病院であり、臨床研修のみならず、学会認定専門医の資格を得ることも念頭に置いている。さらに、当科は耳鼻咽喉科ならびに頭頸部外科という観点から疾患について対処しており、手術的治療能力の習得を研修プログラムの重点に置いている。

一般目標

当科領域の診療を以下に述べる諸点に留意しつつ、常に患者の安全に配慮し、適切な診断、正確な治療を行う能力を習得することを目標とする。また、信頼に基づいた医師・患者及びその家族との良好な関係を形成でき、適切な説明、指導、教育が行えるようにする。そのためには、必要なテクニックを体得すると共に、患者の心理についても理解する能力が求められる。さらには、他医ならびにパラメディカル・スタッフとの協力の必要性を良く理解することも重要である。

  1. 外来診療
    • 検査方法や機器について充分に理解し、必要例に対して検査を行える。
    • 検査結果、所見、問診により診断、鑑別診断を行う能力を習得する。
    • 専門的かつ適切な治療技術を身につける。
  2. 入院診療
    • 指導医のもとに、当科領域の臨床的手技を習得する。
    • 全身管理、局所管理を適切に行う能力を習得する。
  3. 検査
    • 各疾患に対する必要な検査とその適応を理解し、適切に指示あるいは実施する技術を身につける。
    • 検査結果を適切に評価する能力を習得する。
  4. 手術的治療
    • 当科領域の手術の意義、原理ならびに適応について理解する。
    • 安全かつ適切な手術手技を習得する。
    • 手術前後の管理を適切に行う能力を習得する。
    • 高度の手術に関してもその原理を理解し、手術助手が行える。

行動目標

  1. 外来診療
    • 適切に問診を行い、正確に所見をとり、診療録に記録できる
    • 疾患の診断あるいは鑑別診断を行える能力を習得し、適切な治療を行える
    • 外来診療機器の取り扱いに精通する
    • 薬剤の適切な使用、処方ができる
    • 適切な診療録、診断書あるいは紹介状文書の作成ができる
    • 患者およびその家族に対して治療の目的、方法、結果、予後、合併症についての十分な説明を行うことができ、また患者の生活指導を適切に行える
    • 救急あるいは偶発症例に対して外来で可能な救急処置が行える
  2. 入院診療
    • 正確、詳細な問診を行い、診療録へ正確に記録できる
    • 必要な検査とその結果の判定が行える
    • 患者の病態の正確な把握と適切な治療方針を立てることができる
    • 必要に応じて他科との連携を図り、より良い全身管理の手法を会得する
    • パラメディカル・スタッフとの共同作業が円滑に行える
    • 患者及びその家族に対して十分な病状説明を行うことができ、治療に対する協力あるいは同意が得られる
    • 院内感染の防止についての知識を有し、適切な対応を行うことができる
    • 医療関係法規に基づく適切な対応(例えば、麻薬取り扱い、法定伝染病など)を取ることができる。
  3. 検査
    • 専門領域の検査にとらわれず、広く患者の全身状態に注目することを年頭に置き、全身的検査を行う
    • 耳鏡検査、鼻鏡検査、咽頭鏡検査などの一般的検査を習得する
    • 専門的検査として、聴力検査、平衡機能検査、耳・鼻・喉・上咽頭・中耳腔などのファイバースコープによる検査、嗅覚検査などを習得する
    • 胸部をはじめ、全身の画像診断検査(CT、MRI、造影、超音波エコー検査など)とその結果の判定について正確に評価できる
    • 各検査の意義、必要性、施行前の注意点、検査に伴う合併症の可能性について十分理解し、患者ならびにその家族に対して説明を行い、同意と協力が得られるようになる
  4. 手術的治療
    • 手術手技を十分理解し、手術助手が行える
    • 手術の必要性、適応を諸検査あるいは診断結果より判断できる能力を養う
    • 術前・術後の全身状態のチェックと管理が充分行える
    • 患者あるいはその家族に対して、手術の必要性と意義、危険性あるいは予後について充分な説明を行い、同意と協力が得られるようになる
    • 安全かつ充分な麻酔が行える(全身麻酔も含む)
    • 手術器具の取り扱いに習熟する
    • 消毒と術中・術後感染についての充分な知識を持つ

経験目標

  1. 経験すべき代表的疾患
    • 鼻・副鼻腔疾患:急性・慢性鼻炎、急性・慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔真菌症、歯性上顎洞炎、副鼻腔嚢胞、鼻出血、鼻腔異物、鼻骨骨折
    • 口腔疾患:口内炎、舌炎、口腔真菌症、口腔底蜂窩織炎、唾石症、ガマ腫
    • 咽頭疾患:急性咽頭・喉頭炎、急性・慢性扁桃炎、咽頭異物、アデノイド増殖症、扁桃周囲膿瘍、咽喉頭異常感症、睡眠時無呼吸症候群
    • 喉頭疾患:喉頭浮腫、急性喉頭蓋炎、急性声門下喉頭炎、反回神経麻痺、声帯ポリープ、喉頭異物
    • 耳疾患:急性・慢性化膿性中耳炎、滲出性中耳炎、外耳炎、外耳道・耳介湿疹、耳ヘルペス、耳垢栓塞、耳介血腫、中耳真珠腫、耳硬化症、耳小骨奇形、突発性難聴、メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位眩暈症、音響外傷、外リンパ漏、顔面神経麻痺、ベル麻痺、ハント症候群
    • その他:頸部蜂窩織炎、深頸部膿瘍、頭頸部領域良性・悪性腫瘍全般
  2. 経験すべき代表的手技・手術(助手も含む)
    • 鼻・副鼻腔領域:鼻出血止血術、鼻中隔弯曲矯正術、鼻茸摘出術、下鼻甲介手術、副鼻腔根本手術
    • 口腔・咽喉頭領域:唾石摘出術、扁桃周囲膿瘍切開排膿術、アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術、声帯結節・ポリープ切除術、咽頭・喉頭異物摘出術、組織生検術
    • 耳領域:耳垢栓塞除去術、外耳道異物除去術、鼓膜切開術、鼓膜チューブ挿入術、鼓室形成術、乳突削開術
    • その他:気管切開術、頭頸部領域良性・悪性腫瘍手術全般
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