特徴
当院整形外科は整形外科一般、骨外傷の診断と治療も行っておりますが、特に関節疾患を得意分野としています。
当科では上肢班、股関節班、膝足班の3つのグループに分かれています。
上肢班は肩関節、肘関節、手関節、手指、末梢神経障害(手根管症候群、肘部管症候群)の手術を行います。
股関節班は主に人工股関節置換術の手術を行っています。膝足班は人工膝関節置換術や股関節周囲骨切り術、さらに関節鏡下での膝関節靭帯再建術・半月板手術、足関節の手術などを行います。
上肢班は佐藤哲也医長、黒岩医師が担当し、股関節は佐藤啓医師、星野医師が担当、膝足班は長瀬部長(関節鏡・スポーツセンター長)、立石医師、中村医師、川田医師、渡邉医師が担当します。
(1)上肢
肩関節に痛みがでて、特に夜間痛くて眠れない、痛みで何度も目が覚めてしまうという患者様がおられます。これは肩腱板断裂にしばしばみられる症状でMRIにて診断できます。肩腱板断裂で痛みや運動障害が強い場合は関節鏡下での腱板修復術が薦められます。
若い人では一度肩関節を脱臼すると、くせになり再脱臼を繰り返すことが多くみられます。これを反復性肩関節脱臼と呼びますが、これも関節鏡下の手術で治すことが可能です。
野球による肩の障害・肘の障害の患者様も多く来院されます。野球肩では関節唇損傷や腱板不全断裂がしばしば問題になります。MRIを撮像し、理学所見と合わせて診断して、時に関節鏡下での手術を行うことがあります。関節唇損傷ではこれまでプロ野球選手を含む多くの症例に手術を行い、試合復帰を果たしています。
小学校高学年~中学生の野球肘で、外側が痛くて、肘の屈伸に障害がある場合は肘離断性骨軟骨炎という関節面の一部が痛み、放置すると後遺症を残す症例があります。3次元CTなどで精査し、必要に応じてモザイクプラスティーといって膝の非荷重部から骨軟骨柱を採取して肘の関節を再建する手術も行っています。
(2)股関節
股関節痛があり歩行が辛いという患者様でレントゲン、CT、MRIで関節の変形が認められる場合(変形性股関節症)は人工股関節置換術が薦められます。
当科ではできるかぎり侵襲を少なくしたMISにて人工股関節置換術を行っております。さらに可能な限り、術後早期からのリハビリが可能で、脱臼リスクが低い前方進入法または前側方進入法による施術を行っております。このため術後の痛みの軽減と早期からのリハビリと早期の退院が可能であり、正座などの和式生活への制限も最小限になっており、患者様の満足度も高いです。
また人工股関節の手術では可能な限り自己血輸血を行っています。他人の血液を使わないので、輸血の合併症を少なくできます。さらに手術ではクリーンルームを使用しています。
術者も滅菌されたヘルメットつきガウンを使用することにより、手術野を最大限に清潔に保つことが出来、術後の感染の予防に努めています。
(3)膝足
高齢者で膝関節に痛みがあり、歩行時痛や階段の昇降時に痛みがひどくなる場合では、変形性膝関節症が高頻度にみられます。
日常生活に影響を及ぼすような症状が続く場合は人工膝関節置換術の適応となります。その場合、膝のレントゲン検査だけではなく両下肢全長のレントゲンを撮影し下肢全体の変形の有無もチェックして、患者様一人一人に合う最適な手術術式を選択します。
術後の痛みを極力おさえ、スムーズにリハビリテーションが行えるように努めています。さらに両膝に対しての同時人工膝関節置換術も多く行っております。手術およびリハビリテーションが同時に一度で済むため、患者様の満足度も高いです。
手術ではクリーンルームを使用し、術者も滅菌されたヘルメットつきガウンを着用することにより、手術野を最大限に清潔に保ち、術後の感染の予防に努めております。また比較的若年で活動性が高い変形性膝関節症の患者様には膝関節の変形を矯正することにより軟骨を再生して、膝の痛みをなくすことが可能となる股関節周囲骨切り術も積極的に行っております。
スポーツ選手では外傷により前十字靭帯を断裂することがしばしばあります。膝関節が不安定になりスポーツ活動が障害されます。 これもMRIで診断でき、さらに専用の装置により膝関節の動揺性の程度を定量的に計測できます。当科では関節鏡下での前十字靭帯再建術を多く行っており、競技スポーツへの復帰率も高いです。
大相撲力士、柔道選手、サッカー選手、ラグビー・アメフト選手などに対する豊富な手術実績があります。また、膝蓋骨の反復性脱臼に対して靭帯再建による膝蓋骨制動術も多く行っております。
足関節や股関節に対しても症状に応じ、足関節鏡や股関節鏡を用いての関節鏡下での手術を積極的に行っております。
また、保存療法と手術治療をつなぐ治療として以下のPRP療法も行っています(自費診療)。