病理臨床研修プログラム

病理の概要

常勤の病理医は1名である。技師は3名(全員が細胞検査士の資格をもつ)と1名の写真技師がいる。病理が扱う年間の外科材料は 3,300件、術中迅速診断 200件、細胞診 10,000件、剖検 20体、免役組識学的検索 200件である。外科病理学が臨床医学の一部門であるとの認識にたち、迅速かつ的確な診断を心がけていることはもちろん、臨床各科とのCPCを重視し、治療に対する助言を行っている。

当院病理が他施設に誇れることの一つに、病理研修のための体制がととのっていることである。病理材料の取扱い、標本の保管、資料の管理は完璧で、過去30年の剖検症例、組織診断症例、細胞診症例、各種CPC症例の記録管理が徹底され、肉眼写真や標本とともに閲覧可能である。

一般研修目標

行動目標

  1. 病理解剖を担当し、新研修制度に沿ったCPCレポートの作成と呈示を行う。
  2. 外科手術標本の切り出しと診断書の作成を行う。
  3. 外科病理の主題にしたがって研究をまとめ発表する。
  4. 画像診断と病理診断の比較検討を行う。
  5. 術中迅速診断の限界について理解する。
  6. 病理診断の誤診に対する深い反省をもつ。
  7. 患者およびその家族の立場を尊重し、他の医師および関係者と協調して医療にあたる基本的態度をそなえる。
  8. 検討会、セミナーなどに積極的に参加し研究心を持ちつづける。

経験目標

  1. 剖検
    肉眼的、顕微鏡的検索で詳しく調べ、主病変、合併症の診断、死因の確定を正確に把握する力をやしなう。CPCレポートの作成と呈示をおこなう。
    • 経験すべき主な剖検症例
      肺癌、胃癌、膀胱癌、悪性リンパ腫、白血病、肺結核症、特発性間質性肺炎、心筋梗塞、Alzheimer’s disease
  2. 生検、外科切除検体の病理診断
    生検が疾患の確定診断を下し、患者の治療方針、予後判定の重要な指標となることを理解する。受理した検体の肉眼的所見を観察、記録し、写真やスケッチを付す。すみやかに検査目的に合致した切りだしと固定を行う。組織所見を正確に把握でき、記載することができること。診断にあたっては必要な臨床情報をできるだけ多く入手すること。
    • 経験すべき主な症例:
      下記をすべて経験することは不可能であるが、いずれも症例を経験した際には主要な所見を的確に把握するよう努める。また当病理の豊富な資料をもとに学習可能である。
    1. 消化管: 食道扁平上皮癌、バレット食道、胃生検グループ分類、MALTリンパ腫、アニサキス症、虚血性小腸病変、潰瘍性大腸炎、粘膜脱症候群、アメーバ赤痢、大腸腺腫、腺腫内癌、大腸生検グループ分類、カルチノイド、悪性リンパ腫
    2. 膵、肝、胆道: 漿液性嚢胞腺腫、膵管内嚢胞腺癌、通常型膵管癌、内分泌腫瘍、ウイルス肝炎、アルコール性肝障害、原発性胆汁性肝硬変、肝細胞癌、腺腫様過形成、肝内胆管癌、血管肉腫、胆嚢コレステリン沈着症、上皮内胆嚢癌、進行癌
    3. 呼吸器、縦隔: 細菌性肺炎、肺真菌症、びまん性汎細気管支炎、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、肺過誤腫、硬化性血管腫、胸膜悪性中皮腫、単発性線維性腫瘍、Wegener肉芽腫症、Castleman病、胸腺腫、奇形腫、悪性リンパ腫
    4. 心、血管: 心刺激伝導系、拡張型心筋症、心筋梗塞、心臓粘液腫、結節性動脈周囲炎
    5. リンパ・造血系: 特発性血小板減少性紫斑病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、FAB分類について説明できる、ウイルス性リンパ節炎、皮膚病性リンパ節症、木村氏病、ホジキン病、AILD、ATL、MALT、mantle cell lymphoma、malignant histiocytosis X、Niemann-Pick病
    6. 泌尿器: 膀胱移行上皮癌G1,G2,G3、内反性乳頭腫、腺癌、腎細胞癌、血管平滑筋脂肪腫、腎芽腫、糸球体腎炎各型、糖尿病性糸球体硬化、膠原病に伴う腎病変、アミロイドーシス、骨髄腫腎
    7. 内分泌: ホルモンの種類とその作用を知る、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、橋本甲状腺炎、結節性甲状腺腫、乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、上皮小体腺腫、糖尿病の膵島変化、膵島腫瘍、副腎皮質腺腫
    8. 乳腺: 授乳期乳腺、乳腺症、硬化性腺症、非浸潤性乳管癌、浸潤性乳管癌、小葉癌、髄様癌、葉状腫瘍、乳癌の予後因子、ホルモンレセプター、Her-2蛋白
    9. 女性生殖器: 外陰梅毒、尖形コンジローマ、ボウエン病、子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)、コイロサイトーシス、高度異形成、上皮内扁平上皮癌、微小浸潤癌、腺異形成、頚部腺癌、類内膜腺癌、腺扁平上皮癌、腺筋症、内膜日付診、内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、平滑筋肉腫、悪性中胚葉性混合腫瘍、胎盤、胞状奇胎、絨毛癌、卵管妊娠、卵巣子宮内膜症、漿液性嚢胞腺腫、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、ブレンナー腫瘍、セルトリ・間質腫瘍、未分化胚細胞腫、卵黄嚢腫瘍、未熟奇形腫、卵巣甲状腺腫、カルチノイド腫瘍、Krukenberg腫瘍
    10. 皮膚: 班、水泡、紅皮症、棘融解、過角化、異角化などの臨床皮膚科学で用いられる用語の説明ができる。紅斑、紫斑、水疱、微小膿瘍、液状変性などの組織学的変化を説明できる。尋常性乾癬、結節性紅斑、脂腺母斑、カポジ肉腫、ケラトアカントーマ
    11. 男性生殖器: 前立腺結節性増殖症、前立腺癌、ホルモン療法による組織像の修飾、停留精巣、結核性精巣上体炎、精子肉芽腫、セミノーマ、胎児性癌、セルトリ細胞腫、ライデイク腫瘍、性行為感染症、ボーエン病
  3. 迅速診断
    1. 凍結切片による迅速診断の意義と適応、凍結切片作製、染色ステップを理解する。
    2. 肉眼所見を正しく把握し、適切な切りだしを行う。
    3. 永久標本との比較を行う。
  4. 細胞診
    下記の項目について、実際に鏡検して理解する。
    1. 総論: false negative、false positive、剥離細胞診、固定法、染色法、Papanicolaou分類、良性細胞、悪性細胞、境界領域細胞
    2. 婦人科: ホルモンの影響、エクソダス、クラミジア、上皮内腫瘍1,2,3、異形成、扁平上皮癌、頚部腺癌、内膜癌、放射線による細胞の変化
    3. 呼吸器: 扁平上皮化生、異型化生細胞、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、アスベスト小体、感染症(カンジダ、クリプトコッカス、カリニ)
    4. 泌尿器: 移行上皮癌、腺癌、移行上皮の反応性変化
    5. 乳腺: 線維腺腫、良性乳管上皮増生、アポクリン化生、乳管癌、小葉癌、髄様癌
    6. 胸水・腹水: 反応性中皮細胞、腺癌、悪性中皮腫
    7. 甲状腺: 核内封入体と乳頭癌、橋本氏病、悪性リンパ腫、濾胞性腫瘍、髄様癌
  5. 特殊技能
    1. 免疫組織化学
      酵素抗体法の原理を理解している。
      腫瘍マーカーの代表的なものを知っており、病理診断に応用することができる。
    2. 特殊染色
      染色法についてみずから手技を経験し、染色結果を判読する。
    3. 分子病理
      核酸の基礎知識を有している。PCR、ノザンブロット、サザンブロット、in situ ハイブリダイゼイションの原理を理解している。

指導医リスト

研修予定表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
8:30 細胞診鏡検 組織診鏡検 部検当番 部検当番 術前
カンファランス
組織診鏡検
 
13:00 切り出し 細胞診鏡検 切り出し   切り出し
細胞診鏡検
16:00       院内
CPC
   
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