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社会福祉法人 同愛記念病院

治療・手術について

腹腔鏡下手術、子宮鏡手術のご案内

当院の産婦人科では、日本産婦人科内視鏡学会技術認定医1名(日本産科婦人科内視鏡学会幹事、評議員)と5名の産婦人科医で腹腔鏡下手術に対応しております。
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、異所性妊娠、不妊症などの婦人科良性疾患に対して腹腔鏡手術を行っております。特に、子宮内膜症を専門とし、子宮内膜症の臨床研究、基礎研究を幅広く行ってきた医師が担当いたします。

当腹腔鏡下手術のメリット

腹腔鏡下手術は、カメラの解像度やモニターの高画質が当たり前になることで、急速にその精度が高くなってきました。

腹腔鏡下手術は、開腹手術に比較し、以下のようなメリットがあります。

  1. 手術の傷が小さく、開腹手術に比較し、美容面のメリットが大きいです。
  2. 術後の痛みが少ないです。
  3. 入院期間が短く、術後の社会復帰も早いです。
  4. 術後の癒着が少ない。
  5. 内視鏡で、病変部位の拡大視ができるため、繊細で的確な手術が可能となります。

良性疾患への腹腔鏡下手術

当院では、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、不妊症、異所性妊娠などの疾患を中心に、良性疾患に対して腹腔鏡、子宮鏡などの内視鏡下手術を行っています。
子宮筋腫や子宮内膜症を原因とする過多月経や月経困難症で困っている方、不妊症の患者さんや今後妊娠を希望している方など、それぞれの患者さんに合った治療法を選択します。特に、今後の妊娠を希望されている方や不妊症の方には、特に卵巣機能、子宮機能の温存に配慮しながら手術を行います。
しかしながら、安全な手術のために、病変が非常に大きい場合や、過去の手術歴や腹腔内感染などの内容により、腹腔症手術ではなく開腹手術をお勧めすることもあります。

手術支援ロボット「ダヴィンチ」

手術支援ロボット「ダヴィンチ」とは?

手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術は、内視鏡下手術の一つです。大きな切開をせずに体の数カ所に穴をあけ、そこから内視鏡カメラや鉗子を腹腔内に挿入して手術を行います。

ロボット支援下手術は、腹腔鏡と同程度の創部で、骨盤腔の狭い空間でも無理なく手術を行うことができます。また、腹腔鏡手術が一般的に2次元画像であるのに対し、立体感のある3次元画像をみて手術を行うことができます。それによってより精緻な手術が可能となります。

同愛記念病院産婦人科では、良性子宮腫瘍に対する子宮全摘術を対象に、ダヴィンチを用いたロボット支援下手術を行っております。従来の腹腔鏡下手術、開腹手術と併せ、それぞれの患者さんに合った術式で治療を行えるようになり、より最適な治療を提供できるようになりました。

ロボット支援下手術のメリット

ロボット支援下手術のメリットは、特に開腹手術と比較して、手術の創部が8~15mmと小さく、出血量が少なく、術後の疼痛が少なく、3次元画像で精緻な操作が可能となることです。当院では、子宮筋腫や子宮腺筋症といった良性子宮腫瘍を対象にして、ロボット支援下子宮全摘術を行っております。

当科では、Intuitive Surgical社規定のトレーニングを受けダヴィンチを使用する手術のコンソールサージャン(術者)の資格を有する内視鏡技術認定医が執刀いたします。(症例によってロボット支援手術の対象にならない場合がありますので担当医にご相談ください。)

月経困難症

月経困難症とは?

月経(生理)の期間中に、下腹痛、腰痛など月経痛(生理痛)といわれる痛みの症状の他に、吐き気、頭痛、疲労、脱力感、憂鬱、イライラ、下痢などの症状が日常生活に支障を与える場合に月経困難症と呼びます。  月経が来ている年齢の女性のうち、7割の方が、月経困難症の症状に悩まされているという報告もあります。 また、私達は、大規模な遺伝子解析で、月経困難症と遺伝の関連も明らかにしました。

月経困難症の分類

1. 機能性月経困難症

原因となる疾患がない月経困難症のことです。若い年齢の女性に多く、出産を経験することで症状が緩和されることが多いとされています。鎮痛剤やホルモン療法(低用量ピル、LEP製剤など)を用いて、症状の緩和を図ることができます。

2. 器質性月経困難症

主に子宮関連の疾患のために起こる月経困難症のことです。原因となる疾患は、①子宮内膜症 ②子宮腺筋症 ③子宮筋腫 ④子宮内膜ポリープ などです。

①子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が、子宮以外のお腹の膜(腹膜)の表面や卵巣などにできてしまい、月経痛や慢性痛、性交時痛、排便時痛などを引き起こしてしまいます。また、妊娠しにくくなる(不妊)の原因にもなります。
②子宮腺筋症
子宮の筋層に子宮内膜と似た組織が入り込み、その周囲に筋層が肥大します。月経量が多くなったり(過多月経)、月経痛が重度(月経困難症)になります。不正出血の原因にもなります。子宮を温存する手術が非常に困難なため、長期のホルモン療法を行うか、子宮を摘出することが多くなります。
③子宮筋腫
子宮筋層にできる良性の腫瘍です。筋腫の位置により、症状は様々ですが、月経困難、過多月経の原因になります。
④子宮内膜ポリープ
子宮内膜にできるポリープです。主に、月経量が多くなることが多いですが、月経困難症の原因になることもあります。

月経困難症の治療

1.鎮痛薬
鎮痛薬を用いることで、月経痛を和らげます。かなり痛くなってから内服するより、痛くなりはじめに用いたほうが、効果が高いことが多いです。
2.低用量ピル、低用量エストロゲン-プロゲスチン配合剤(LEP製剤)
排卵や子宮内膜が厚くならないようにすることで、月経量が少なくなり、痛みも軽くなります。
3.子宮内システム
子宮内にプロゲスチン含有の子宮内システムを挿入する方法です。プロゲスチンというホルモン剤が子宮内に効果をもたらし、子宮内膜が厚くならないため、月経量が少なくなり、痛みが改善します。
4.偽閉経療法(GnRHアンタゴニスト、GnRHアゴニスト)
エストロゲンを抑えることで、閉経の状態にすることができます。月経が来なくなるため、月経痛や過多月経はなくなります。また、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫の増悪を抑えます。

月経痛がひどくなってきている場合や、月経量が多くなってきている場合には、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などを罹患していることもありますので、一度、産婦人科を受診することをお勧めします。

子宮筋腫でお困りの方へ

子宮筋腫とは?

子宮筋腫は子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍で、30歳以上の女性の2割から3割程度の方に見られます。子宮筋腫は、できる部位によって、漿膜下筋腫(子宮の外側)、筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)、粘膜下筋腫(子宮の内側)に分けられます。複数個できることも多く、大きさやできる部位によって症状が異なります。女性ホルモンであるエストロゲンの影響で大きくなると考えられています。

子宮筋腫の症状

主な症状は、過多月経(月経量が多くなること)と月経痛です。その他、頻尿、腹満感、腰痛などの症状が出ることがあります。これらの症状は、子宮筋腫の大きさやできる場所によって様々です。特に、粘膜下筋腫では、サイズが小さくても月経量が多くなったり、不正出血があったりします。出血時にレバーのような血のかたまりが混じって出てくることもあります。

子宮筋腫の治療法

小さくて症状がない場合には、治療の必要はありません。過多月経、月経困難症、不妊、頻尿などの症状がある場合に、特に治療を行います。治療法には、薬物療法と手術療法があります。薬物療法としては、月経痛に対しては鎮痛剤、過多月経に伴う貧血には鉄剤投与を行います。また、過多月経に対しては、GnRHアンタゴニスト、GnRHアゴニストを用いることで、月経を止め、症状改善を図ります。また、症状緩和のために、LEP製剤、プロゲスチン製剤、子宮内黄体ホルモン放出システムなどを、患者さんの症状に合わせて適切に選択することがあります。 手術療法としては、子宮を取ってしまう子宮全摘術と子宮を温存して子宮筋腫だけ切除をする子宮筋腫核出術があります。将来的に妊娠したい人や、子宮を温存する希望が強い人では、この子宮筋腫核出術を行います。子宮を温存する場合には、子宮筋腫が再発してしまうこともあります。当院では、子宮全摘術、子宮筋腫核出術を腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術といった低侵襲手術を積極的に行っています。しかしながら、子宮筋腫のサイズが非常に大きい場合や、過去の手術歴、腹腔内感染の既往などから開腹手術をお勧めすることもあります。

薬物療法

鎮痛剤
月経痛などの痛みを改善するために使用します。
鉄剤
貧血を改善するために使用します。
GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニスト
エストロゲンを低下させることで、過多月経、月経困難などの子宮筋腫による症状を軽減することができます。
その他
子宮筋腫が引き起こす過多月経、月経困難などの症状に対して、低用量ピルやプロゲスチン製剤、プロゲスチン含有の子宮内システムなどを用いることがあります。

手術療法

子宮温存の希望の有無、子宮筋腫の大きさや個数などを考慮し、以下のような手術療法を行います。

子宮筋腫核出術
子宮を温存し、子宮筋腫のみを切除する術式です。将来的に妊娠を希望する方に行う手術です。子宮筋腫を切除することで、子宮筋腫が引き起こす過多月経、月経困難症、不妊などの症状を改善させる効果があります。一方で、子宮を温存するため、子宮筋腫が再発した場合に、それによる過多月経、月経困難などの症状が再発してしまう可能性もあります。また、手術後の出産の際には、陣痛が来る前に帝王切開の予定を組んで出産に臨むようお勧めする可能性が高くなります。 当院では、子宮筋腫のサイズや個数を考慮したうえで、腹腔鏡下、もしくは腹腔鏡補助下で子宮筋腫核出術を行っています。
子宮全摘術
子宮そのものを摘出するため、月経はなくなり、子宮筋腫が再発することもありません。一方で、子宮を摘出してしまうため、妊娠することは不可能になります。子宮を摘出しても、子宮はホルモンを出していないため、更年期障害などの症状が出ることはありません。卵巣が女性ホルモンを分泌するため、卵巣を温存することで術後の更年期症状を避けることができます。当院では、MRI検査などで子宮全体の大きさを評価し、術前にホルモン療法を行うことで、子宮筋腫のサイズの縮小を図り、可能な限り腹腔鏡下手術で行っています。
子宮鏡下子宮筋腫切除術
子宮の内側に突出する粘膜下筋腫に対する手術方法です。膣のほうから内視鏡で子宮内に入り、子宮の内側に突出している子宮筋腫を切除する手術です。お腹に傷ができないことと、入院期間が短いことがメリットです。子宮内に突出する子宮筋腫のみ切除可能なため、切除した粘膜下子宮筋腫による症状の改善は望めますが、切除できない他の部位の子宮筋腫による症状は改善しません。粘膜下子宮筋腫による過多月経に対して、非常に有効な手術です。
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