皮膚科臨床プログラム初期臨床研修病院研修ガイド
一般目標
皮膚症状を有する患者に対して、基本的な診断及び、治療ができること。将来、各科の診療において、必要な場合には適時皮膚所見に関連する情報を整理して皮膚科専門医への診察依頼ができることを修得する。具体的には全科を通じて日常診療で遭遇する機会の多い皮膚疾患の診療を指導医とともに経験する。以下に具体的な目標を挙げる。
- プライマリーケアに求められる、皮膚症状の診断と治療技術を身につける。
- 皮症状の評価と鑑別診断技術を身につける。
- 皮膚症状への治療技術(薬物療法など)を身につける。
- チーム医療に必要な技術を身につける。
- チーム医療モデルを理解する。
- 他職種との連携のための技術を身につける。
- 病診(病院と診療所)連携・病病(病院と病院)連携を理解する。
- 地域医療への貢献を理解し、実行する。
- 訪問看護・訪問診療を経験する。
- 皮膚疾患を有する患者の訪問看護・訪問診療を経験する。
行動目標
- 皮膚疾患の把握の仕方および患者・家族との人間関係のよりよい持ち方を学ぶ。
- 医療人として必要な態度・姿勢を身につける。患者医師関係をはじめとして、人間関係を良好に保つことに心を配ることを知識としてだけではなく、態度として身につける。
- 基本的な面接法を学ぶ。
- 患者に対する接し方、態度、質問の仕方を身につけ、必要な皮膚症状の把握を容易にする。
- 患者の病歴(既往歴、家族歴。現病歴)聴取を行い、記録することができる。
- 患者・家族への適切な指示・指導ができる。
- 皮膚症状の捉え方の基本を身につける。
- 発疹の基本的記載法を学び、適切に表現できる。
- 患者・家族に対し、適切なインフォームドコンセントを得られるようにする。
- 診断の経過、治療計画などについて、わかりやすく説明し了解を得てから治療を行う。
- 手術や検査に先立って、必要に応じて患者・家族より同意書を得る。
- 皮膚疾患とそれへの対処の特性について学ぶ。
- 皮膚疾患に関する基本的知識を身につける。主な皮膚疾患の診断と治療計画をたてることができる。湿疹・皮膚炎群、感染症、皮膚腫瘍、熱傷などの診断、治療計画を立てることができる。
- 代表的な皮膚疾患に対する適切な外用法と必要に応じた内服法ないし注射法を学ぶ。
- 手術や皮膚科的処置を有する疾患の特性を学ぶ。
経験目標
経験すべき診療法・検査・手技
1.基本的な身体診察法
- 皮膚科所見の診察ができ、記載できる。
2.基本的な臨床検査
- 皮膚生検
- 真菌顕微鏡検査
- パッチテスト
- 細菌培養・真菌培養
- 光線過敏症検査
- 血算、生化学検査X線
- CT、MRI、体表超音波検査
3.経験が求められる疾患・病態
必須項目
- aの疾患については入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを提出すること。
- bの疾患については、外来診療または受け持ち入院患者(合併症含む)で自ら経験すること。
皮膚病疾患
- A.接触性皮膚炎…b
- B.アトピー性皮膚炎…a
- C.薬疹・中毒疹…a
- D.感染症
- 足白癬・休部白癬・股部白癬・爪白癬…b
- 皮膚カンジダ症…a
- 帯状疱疹・単純性疱疹…b
- 蜂窩織炎…b
- 水痘・麻疹・風疹…b
- カポジー水痘様発疹症…b
- 梅毒…a
- 尋常性疣贅…b
- E.膠原病の診断と治療計画、経過観察
- 全身性エリテマトーデス…a
- 強皮症…a
- 皮膚筋炎
- F.角化症
- 尋常性乾癬…b
- 膿症性乾癬
- G.水疱症
- 類天疱瘡…a
- その他の水疱症
- H.皮膚潰瘍
- 褥瘡…a
- その他の皮膚潰瘍
- I.皮膚良性腫瘍に対する手術療法
- 母斑細胞母斑…a
- 粉瘤…b
- 脂肪種
- その他比較的小さな良性腫瘍
- J.皮膚良性腫瘍に対する手術療法
- ボーエン病…b
- 基底細胞上皮癌…b
- 扁平上皮癌
- その他の皮膚悪性腫瘍