眼科臨床研修プログラム初期臨床研修病院研修ガイド
一般目標
視覚器の障害あるいは視機能の障害を有する患者全般に対し眼科臨床医としての心構えを認識し、医療スタッフとの融和協力を図る。
各科の日常診察において、遭遇する機会の多い眼科主要疾患の診察を指導医とともに経験することを目標とする。
基本的な診断及び治療ができ、眼科への診察依頼ができるように技術を習得する。
- プライマリーケアに求められる眼科的症状の診断と治療
- 眼症状の評価と鑑別診断技術を身につける。
- 全身疾患と関連のある眼症状の評価と治療技術を身につける。
- 全身疾患を有する患者の眼症状の評価と治療技術の習得。
- 介護を要する患者への対応と診断技術を身につける。
- 全身疾患と関連のある眼症状の評価と治療技術を身につける。
- 医療コミュニケーション技術の習得。
- 初回診察時における基本診察技術を身につける
- 患者とその家族との人間関係の構築
- インフォームドコンセントに必要なコミュニケーションの技術を身につける。
- チーム医療に必要な技術を身につける。
- チーム医療の理解。
- 他職種との連携のための技術習得。
- 病診連携、病院連携を理解する。
- Low Vision、中途失明者に対するリハビリテーションや支援体制を理解する。
- Low Vision専門外来の経験。
- 盲学校の見学。
行動目標
視機能状態の把握の仕方および対人関係の持ち方について学ぶ。
- 医療人として必要な態度、姿勢を身につける。
視機能障害を持っている患者の心理を理解する。患者医師関係を始めとし、人間関係を良好に保つことを考慮し態度として身に付ける。
医師、患者、家族が納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施できる。守秘義務を果たしプライバシーへの配慮ができるようにする。 - 医療面接法の習得
- 患者に対する接し方、質問の仕方を身に付け、受診動機を理解する。
- 患者病歴の聴取を行い記録する。
- 患者、家族への適切な説明、指示、指導ができるようにする。
- 眼症状の捉え方の基本を身に付ける。
- 症状と他覚的検査結果により病態の情報を得る。
- 患者の訴えと眼所見の評価により個々の病態を把握する。さらに、必要な検査法を検討し、的確に診断できるようにする。
- 患者、家族に対し適切なインフォームドコンセントを得られるようにする。
診断の経過、治療計画などについて分かりやすく説明し、了解を得て治療する。 - チーム医療について学ぶ。
医療チームの一員としての役割を理解し幅広い職種の医療従事者と協調、協力し、情報交換し対処する。- 指導医に適切な時期にコンサルテーションできるようにする。
- 上級および同僚医師、視能訓練士など他の医療従事者との適切なコンサルテーション。
- 他の医療機関への紹介時には的確な情報交換ができるようにする。
- 関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。
- 診療計画
- 診療計画の作成ができる。
- 緊急性の有無を見極め、入退院の適応を判断する。
- QOV(Quality of Vision)を考慮した総合的な治療計画ができるようにする。
- 診療ガイドラインやクリニカルパスを理解し活用できる。
- 症例呈示
チーム医療の実践と自己の臨床能力向上に不可欠な症例呈示と意見交換を行う。- 症例呈示と討論ができる。
- 臨床症例に関するカンファレンスや学術集会に参加する。
- 医療の社会性
医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、社会に貢献する。- 保険医療法規、制度を理解し適切に行動する。
- 医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診察する。
- 医の倫理、生命倫理について理解し、適切に行動する。
眼科疾患への対処の特性について学ぶ。
- 眼科疾患に関する基本的知識を身に付ける。主要な眼科疾患の診断と治療計画をたてることができるようにする。結膜炎、白内障、緑内障、眼底疾患などの診断、治療計画をたてることができる。
- 全身疾患や隣接臓器からの関連疾患に対する診断、検査結果の評価、治療方針をたてることができるようにし、他科との適切な情報交換を行う。
- 眼症状に対する初期的な対応と治療の実際について学ぶ。
初診時や緊急時の場面において適切で迅速な対応ができるようにする。
経験目標
1.経験すべき診察法、検査、手技
Ⅰ.基本的な眼部診察法
病態の正確な把握ができるように眼部診察を系統的に実施する
- 外眼部(涙器、眼瞼、結膜、角膜)の診察ができる。
- 内眼部(前房、水晶体、硝子体)の診察ができる。
- 後眼部(網膜、視神経、眼窩)の診察ができる。
- 眼球運動、瞳孔反射の診察ができ、所見の記載ができる。
Ⅱ.基本的な臨床検査
- 屈折、調節、視力測定
- 眼圧測定
- 色覚
- 視野検査
- 眼底写真撮影(蛍光眼底写真)
- 超音波検査
- 眼球運動
各々の検査を自ら行い、結果の評価ができるようにする。
また、単純X線、CT、MRI検査においては結果の評価ができるようにする。
2.経験すべき症状、病態、疾患
Ⅰ.頻度の高い症状
- 視力低下
- 異物感
- 充血
- 眼精疲労
- 飛蚊症
Ⅱ.緊急を要する症状、病態
- 急激な視力、視野障害
- 高度の眼圧上昇(急性発作)
- 外傷
経験が求められる疾患、病態
- 角結膜疾患(ドライアイ、結膜炎)
- 白内障
- 緑内障(急性発作)
- 眼底疾患(網膜剥離、黄斑変性)
- 全身疾患と関わりのある眼疾患(糖尿病網膜症、高血圧眼底)
- 屈折異常(近視、遠視)
- 外眼部疾患(麦粒腫、霰粒腫)
※白内障については、手術適応の症例について術前から術後までの経過を症例レポートとして提出する。
3.特定の医療現場の経験
- 当院で実施できない症例の手術を大学病院や指導医のいる他病院へ出張研修する。
- 地域、職場、学校検診の経験
- 僻地、離島検診の機会があれば参加する。