病理診断科
概要
病理診断科は、2008年4月から新たに病院の診療科として標榜可能となった診療科です。当院では、病理診断科の医療スタッフは全員研究検査科に所属し、病理診断を専門とする医師が代々研究検査科部長として病理診断を行ってきました。
病理診断には大きく組織診断、細胞診、病理解剖の3つの診断分野があります。特に組織診断は全身の様々な臓器に由来する悪性腫瘍を確定診断する役割を果たし、手術や化学療法、分子標的療法など悪性腫瘍に対する治療を根底から支えています。
検査内容
組織診断
主治医が患者の皆様から採取した生検検体や手術検体から、病理組織標本を作製して病理診断を行います。病理診断の対象は、悪性腫瘍をはじめ良性腫瘍や炎症性疾患など多岐にわたります。診断結果は、各診療科の主治医から患者の皆様に説明させていただいております。また、患者の皆様がより専門性の高い大学病院などを紹介受診される場合は、診断の基となる病理組織標本の貸し出しを無償で行っています。
悪性腫瘍における病理診断の果たす役割は非常に重要で、診断から治療方針の決定に至るまで各診療科との緊密な連携が必須です。定期的に外科・血液内科・呼吸器内科・呼吸器外科及び放射線科とカンファレンスを開催し、診断から治療後の経過まで情報を共有しています。
細胞診
採取した細胞を対象に、標本を作製して診断します。細胞の採取は組織診断と異なり比較的負担が少なく行える利点があり、繰り返し検査することが可能です。作成する標本の種類や対象となる検体も組織診断とは異なります。当院では婦人科の子宮頚部細胞診と泌尿器科の尿細胞診が大部分を占めています。組織診断よりも標本作成に要する時間は短く、採取して翌日に診断することも可能です。当院では細胞検査士が最初に判定し、陰性・陽性を問わず全症例を細胞診専門医がチェックして診断しています。
病理解剖
不幸にして亡くなられた方の死因や治療経過における疑問点を明らかにするため、病理解剖をさせていただく場合があります。大まかな目安として、亡くなられた日から3か月以内を目安に診断が完了し、その結果は主治医からご遺族にご説明させていただきます。
診療実績
組織診断・細胞診・病理解剖の件数は、以下の通りです。
※横にスクロールできます。
組織診断 | 細胞診 | 病理解剖 | |
---|---|---|---|
2021年 | 3,645 | 4,498 | 4 |
2022年 | 3,817 | 4,535 | 7 |
2023年 | 4,254 | 4,702 | 9 |
2024年 | 4,571 | 4,668 | 7 |
スタッフ・資格
増田 渉
役職 | 部長 (研究検査科) |
---|---|
資格認定など | 病理専門医・病理専門医研修指導医、細胞診専門医・教育研修指導医 他 |
非常勤医師 | 1名 病理・細胞診担当 |
臨床検査技師 | 病理・細菌担当 |
近隣の医療機関への御礼と当院の標本返却の御願い
病理診断科では、当院を紹介受診される患者様の病理組織標本・細胞診標本の診断を積極的に行っています。医療機関の皆様からお借りした貴重な標本は、診断が済み次第直ちに返却しております。
逆に、当院から患者様を大学病院など高度医療機関へ紹介する際には、当科で作成した病理組織標本・細胞診標本などを貸し出すことがあります。個人情報保護の観点から標本の紛失を防ぐため、当院から貸し出した標本については、返却期限日または貸し出しから1か月以内を目安に必ず当院へご返却いただけますようお願い申し上げます。