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社会福祉法人 同愛記念病院

肺がん診療

概要

肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、血液やリンパ液の流れにのってリンパ節、反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎などに転移します。肺がんの症状は咳や痰、痰に血が混じる、発熱、息苦しさ、動悸、胸痛などがあげられますが、症状がないうちに進行していることもあります。

肺がんが疑われるときは、胸部X線検査、胸部CT検査、喀痰細胞診などを調べます。これらの検査で異常が見つかった場合には、気管支鏡検査や経皮的針生検で肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取して病理検査を行い、がんかどうか、がんの場合はどのような種類のがんかについての診断を確定します。

最近では肺癌の原因が様々な遺伝子異常によることが明らかになってきています。多くの遺伝子異常を一度に検査するためには十分な量の組織検体による遺伝子解析が必要であり、当科では気管支鏡検査の精度を高める努力をしています。肺がんの診断が確定したら、病期を診断するために画像検査を行います。

肺がんは、組織型によって、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つに大きく分けられます。発生頻度が高いのは非小細胞肺がんで、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。中でももっとも多いのが腺がんで、一般には「肺腺がん」ともいいます。小細胞肺がんは、非小細胞肺がんと比べて増殖速度が速く、転移や再発をしやすい腫瘍です。非小細胞肺がんと小細胞肺がんでは、治療方針が大きく異なるため、検査によって組織型を確認してから治療を開始します。

非小細胞肺がんの治療は比較的早期では手術で、再発予防のため薬物療法を行うこともあります。また、体の状態、年齢、合併する他の病気などの影響で手術が難しい場合には、放射線治療を行います。体の状態がよければ、放射線治療と薬物療法を同時に行うこともあります。さらに進行した状態では、薬物療法が治療の中心になります。小細胞肺がんの治療の中心は薬物療法です。ごく早期の場合は手術を行うこともあります。限局型の場合には、体の状態によって放射線治療を併用することもあります。

薬物療法とは抗がん剤を点滴または内服で体内に取り入れ、がんの増殖を抑えたり成長を遅らせたりする治療です。手術や放射線治療のような局所療法と組み合わせて、治療後の再発や転移を予防することもあります。肺がんは転移しやすいがんなので、薬物療法はとても有効な治療法です。肺がんの薬物療法で使用する薬には、大きく分けて「細胞障害性抗がん薬」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」があります。どの薬を使用するかは、肺がんの組織分類、遺伝子異常の有無、病期、体の状態などによって判断させて頂きます。

当科では患者さんに最善の治療を行って頂けるよう、他科医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種と密な連携をとっています。お困りの際には遠慮なくご相談ください。

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