卵巣成熟奇形腫(デルモイドシスト)の再発に関する臨床病理学的研究(後視野的研究)
卵巣成熟奇形腫は、卵巣に好発し、毛髪、骨、皮膚、消化管などを形成する腫瘍で、従来より多くの病理医、婦人科医の興味がもたれている腫瘍です。卵巣奇形腫は、良性の成熟奇形腫(デルモイドシスト)と悪性の未熟奇形腫に分類されますが、今回の研究は良性の成熟奇形腫(デルモイドシスト)に限定しています。
本腫瘍(卵巣デルモイド腫瘍)は良性腫瘍でありながら、ごくまれに再発することがありますが、その正確な頻度や病理形態像は明らかにされていないのが現状です。その理由としては、良性腫瘍であるため、長期の予後調査がなされていないこと、長期保存されている過去の病理標本が残っていないため比較検討ができないことが主な理由です。本研究は、1991年から2016年までの26年間に同愛記念病院病理で診断された卵巣良性奇形腫全例の後視野的な病理学的研究により、卵巣良性奇形腫の再発に関する病態像を明らかにすることを目的とすることにあります。
1991年から2016年までに同愛記念病院病理で診断された卵巣成熟奇形腫の全例について検討します。約400例あり、それら全例は手島または岸が病理診断しています。また病理診断はすべて病理報告書また電子カルテに記載されています。肉眼写真、標本とパラフィンブロックはすべて保管されています。400例の中から再発症例を選びます(約15例)。15例の初発と再発の病理形態像を比較検討します。また非再発例との比較検討のため、非再発例の病理形態像も再検討する症例があります。
再発例の初発像、再発像、および非再発例の肉眼像と組織学的な再検討を行います。HE標本の比較検討、核分裂数の比較、MIB1index(KI67陽性率)の比較を行い、いくつかの免疫染色も検討します。しかし、遺伝子検索は行いません。あくまで病理形態像にのっとった比較検討です。
予後、再発に関しては電子カルテの臨床経過、病理カルテを参考にしますが、あらたに主治医や患者様に問い合わせすることはありません。
研究責任者(当施設) | 岸 宏久(同愛記念病院 研究検査科) |
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研究責任者(他施設共同) | 手島 伸一(湘南鎌倉総合病院 病理科) |
研究分担者 | 小泉 佳男(同愛記念病院 産婦人科) |
倫理委員会承認後~2018年3月31日まで
同愛記念病院研究検査科病理検査室内
研究はすでに手術によって切除された腫瘍の組織検体を用いて行いますので、研究のために新たに生じる負担、リスク、および利益はありません。個人情報は匿名化するため、個人情報が漏洩することもありません。
研究に用いる検体は、通常診断に用いたパラフィンブロックやスライドガラスで一定期間保管後、すべて破棄されます。パラフィンブロックから新たに作成したスライドガラス標本は研究終了後すべて破棄されます。破棄においては、個人情報の漏洩は全くないものと保障します。
協力の拒否・撤回の場合は、下記事務局までご連絡くださいますようお願い申し上げます。連絡を受けた場合、その患者様の検体は用いません。
本研究から生じる特許等の知的財産権は研究組織、または研究者に帰属します。
研究の成果は関連学会における発表や学術論文として報告されます。プライバシー保護のため患者様本人に遡及できる情報は一切公表せず、患者様の承諾なく本研究の目的以外での情報の使用はいたしません。
〒130-8587 東京都墨田区横網2-1-11 同愛記念病院 研究検査科
Tel 03-3625-6381(内線589) 研究事務局 岸 宏久
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